紫亭京太郎

グリーン・ゾーンの紫亭京太郎のレビュー・感想・評価

グリーン・ゾーン(2010年製作の映画)
4.3
見つからなかった「大量破壊兵器」。必ずあるものして始まったイラク侵攻だったがそんなものは元から存在せず機密情報と呼ばれたものは全てウソだったことが明らかにされるまでの時間は一体何だったのか?誰が何のために“仕掛けた”侵攻だったのか?
何千というカット割りとハンディカメラによる“ぶれる”映像により観客は強烈な緊迫感と臨場感に包まれる。
「ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」でマット・デイモンとタッグを組み手に汗握るハード・アクションの傑作を産み出してきたポール・グリーングラス監督のカメラワークが本作でも冴える。激しい銃撃戦やチェイス・シーンでの緊張感溢れる映像は真骨頂。
独裁政権による圧政から人々を解放して平和をもたらすはずが新たな紛争を引き起こしイラクを混迷の極みに押しやる結果にしかならなかった原因を我々観客はミラーと共に追いかけそしてイラク侵攻の何たるかを思い知らされる衝撃のラストまで一気に駆け抜ける。
「あなたたちにこの国のことを決めさせない!」
セリフに込められた思いが胸に迫る。一国の平和と復興はグリーン・ゾーンが生み出すものではない。
良質のアクション・ミステリー!
紫亭京太郎

紫亭京太郎