toshi

ちょっと今から仕事やめてくるのtoshiのレビュー・感想・評価

4.1
あらすじや予告をみて、ブラック、パワハラ、自殺等、若い頃を思い出してしまいそうなキーワードが並び鑑賞するか悩んでおりましたが本日観てまいりました。辛かったけど救われる場面も多く観てよかったと思いました。

工藤さん演じる青山はあれだけの黒い会社でパワハラを受けているのなら心身ともに疲れ果てていただろうし、でも死にそうになった彼を助けてくれた福士さん演じるヤマモトの笑顔には本当に救われたのではないかと思いました。かつて私も残業150時間越えが半年ほど続いたことがありましたが正に心身ともに疲れ果て、でもそんなときに私を助けて来てくれた方達が居ました。彼らが私の通う地獄の様なフロアに入ってきた時は本当にうれしくて泣きたくなった時の事を思い出します。

社員10訓も一昔前を思い出します。「有休なんていらない」・・・、そんな社訓が今作に出てきます。現代においてそんなこと会社が社員に言わせ様ものなら一発アウトです。でも今でもそんな会社ってどこかにひっそり存在するのかもしれませんね。

私はITのエンジニア職を経てマネージャー職に10年程前就くことになりましたが、私の部は社の利益に対し貢献していた部でもあったので、それはそれは毎日強いプレッシャーとパワハラを受ける日々でした。毎日ピリピリした緊張感の中、誰かが上司の席に呼ばれ立たされ罵声を浴びせられます。正に今作青山と一緒です。自席にいる他のマネージャー達も今作同様自分自身が怒られている様に固まってしまい兎に角異様な雰囲気でした。
当時は金曜の夜帰宅しタモリ倶楽部を観終わるまでの数時間が唯一仕事を忘れられる至福の時間でした。でも土曜の朝目が覚めると休みの日なのにもう月曜日の仕事の事を考える・・・。心休まない土日の休日が終わり月曜の朝を迎える・・・そんな日々が6年程続きました。

吉田さん演じるパワハラ部長の演技は圧巻でリアルで・・・。でもやっぱりこんなことがあってはならないと強く思いました。ただ吉田さん演じる部長も会社から相当のプレッシャーを与えられていたのではないでしょうか。私の上司も我々に厳しくあたりましたが、その上司に会社が与える課題、ミッションは相当なもので我々とは比べ物にならないほどのプレッシャーだったと思います。

今作福士さん演じるヤマモトが3年前に自殺していたという事は予告やあらすじでネタバレとなっていますが、彼は本当は誰なのでしょうか。それは今作内容が作進むにつれ明らかになっていきます。そんな彼が何故工藤さん演じる青山の元に現れるのか。そして何故青山を気にかけてくれるのか・・・。その事実は兎に角切ないです。

ヤマモトも青山も出逢った事で互いが救われるといいのですが・・・・。
結末は書けませんが、個人的に後味は決して悪くない今作でございました。
toshi

toshi