観る前はちょっと身構えてたんですよ。「どうせまたゾンビ映画でしょ?」みたいな。
ゾンビ映画あるあるを焼き直しただけなんじゃないの?って。でもね、これが観たら全然違ったのですよ。想像を遥かに超えるスピード感と緊張感で、開始10分で完全に持ってかれました。
まず、ゾンビの足、速すぎない!?いや、ゾンビって、普通はノロノロしてるのが定番じゃないですか。それがこの映画だと、もう爆速なの!あいつら、死んでるのにスプリンターばりに走るからね。しかも何が怖いって、それが全然コミカルに見えない。むしろ、こっちの恐怖心を全力で煽ってくる感じ。「おいおい、待てよ、これ全然逃げられないじゃん」って、観てるだけで追い詰められるのですよ。
で、その爆速ゾンビたちが閉鎖空間の電車内に押し寄せてくると、もうね、逃げ場がない。普通のゾンビ映画だったら「ドアを押さえとけば何とかなるでしょ。」みたいな余裕があるけど、この映画ではそんな余裕ゼロ。速いわ、数は多いわ、次から次へと連結車両を突破してくるわで、観てるこっちも心拍数が上がりっぱなし。まるで観客も一緒に逃げてるような感覚になるんだよね。
あと、アクションやサスペンスだけじゃなくて、人間ドラマの描き方がエグいくらい巧妙。主人公と娘の親子関係とか、乗客それぞれの思惑が絡み合うところなんか、単なるパニック映画を超えた深みがあるんだよね。そこに、速すぎるゾンビたちが次々と襲いかかるわけで、物語のテンポがとにかく凄まじい。感情移入する暇も与えず、どんどん畳み掛けてくる。
終盤の展開。これがまた絶妙で、ただゾンビを倒すだけじゃない、胸にズシンと来るエモーショナルなラストを見せてくれるんだよ。観終わった後の感覚としては、“恐怖”と“感動”の両方でぐったりする感じ。これ、ゾンビ映画でここまで感情を揺さぶられる作品、他にあんまりないと思うのです。
ゾンビ映画に飽きた人も絶対引きずり込まれる作品です。