どこにでもある小さな街の人々に、なぜこんなにも魅せられてしまうのだろう。
これがアニエス・ヴァルダのマジックなのだろうか?
あの調香師の奥さん(ドラマ「刑事モース〜オックスフォード事件簿〜」のサーズデイ警部補の奥さん役の女優にそっくりだが、この映画の製作年は1975年で、ドラマの方は1986年なのだし、映画はドキュメンタリーで俳優は起用していないようだから、同一人物ではない。)のうつろな視線や所在なげな様子は、あれは認知症の初期症状だろうか?
街の人々の表情というのは、こんなにも深みのあるものだったのか。
別に悲惨なエピソードが語られる訳ではないが、なんとなくブルデューの『世界の悲惨』を思い出す。
岸政彦先生の『東京の生活史』、『沖縄の生活史』、『大阪の生活史』も、そろそろ読みごろか。