陰謀論者X

ソウル・ステーション パンデミックの陰謀論者Xのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

韓国のゾンビ映画「新感染」が非常に面白かったし、前田有一氏の超映画批評でもオススメされていたので角川シネマ新宿まで遠出して鑑賞。

「新感染」でもそうだったが、この監督は同胞である韓国人のイヤな部分を全て曝け出す手法が非常に上手で見応えがある。登場人物は、家出して風俗に落ちたヒロイン・そのヒロインに無理やり売春させて日銭を稼がせる虚弱なヒモカレシ・ヒロインから借金を取り戻す事に異常な執念を燃やす風俗店長・ソウル駅に住み着いている大勢のホームレスとそのホームレスを人間扱いしない人々といった「闇金ウシジマくん」の登場人物みたいな連中ばかりであり、その連中が事あるごとに手を擦り合わせて懇願し、アイゴーアイゴーと泣き叫ぶから見ているこちらも非常にストレスが溜まる。ゾンビパンデミックで混乱が拡大していく中で「君の名は。」とばかりにヒロインとヒモカレシが再会せんと奮闘するが、何と父親だと偽ってヒロインを追い詰めた風俗店長と争っているうちにヒモカレシはノドを切られて絶命し、何とか生き延びてきたヒロインも足首の小さな引っかき傷が原因でゾンビとなってしまうという、アメリカンニューシネマを彷彿とさせるような鬱エンドで唐突に終わる。この突き放した感じのラストは決して嫌いじゃあないんだが、このアニメ作品の登場人物のクズ描写が余りにもリアルすぎて、全く感情移入出来なかったというのは、それだけこの監督が上手いという事なのだろう。しかし、全般的には3DCGアニメ表現部分の粗さや、中だるみ感が感じられたので高得点とはいかない。ただ、前日譚をアニメで制作するという発想は非常に面白いと思いましたね。
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