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ソウル・ステーション パンデミックのjonajonaのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ゾンビ映画の新たな金字塔、新感染の監督のもう一つのゾンビ映画。

新感染がどこに出しても恥ずかしくない品行方正・清廉潔白の完璧優等生だとするなら、このソウルステーション・パンデミックは悪逆無道のグレグレヤンキーだ。

ブツブツ世の中に悪態を吐いて怖くて近寄れない。けど、ちゃんと聞くと腹の中から率直な気持ちを伝えてきてるので、受け止めるのに力はいるけど胸に染みる。そんな感じ。韓国社会に対する強い怒りが感じられた。医療体制が整ってる日本は…なんて、コロナの今見ると、何も韓国だけに言えたことじゃない気がする。

○GOOD
・序盤物語の流れ作りは相変わらず巧妙。
社会の底辺からどんどん感染していき、その過程で助けを求める人の声は常に聞き入れられず、感染するとその層は切り離される。これが徐々に加速していき歯止めが効かなくなる様子がワクワクする。

・絶望的な救いの無さ
父親がまさかの…ってのはもう悲しすぎ

・社会の縮図となるシュチュエーション作りに余念がない。うまし。
牢屋
(警官ー主人公ーホームレスーゾンビ)
検問前
(警官ー隔り
ー主人公ら市民とホームレスーゾンビ)
ショールーム
(取立て屋
ークズの彼氏・主人公ーゾンビ)
ゾンビが暴動する市民のメタファーとも取れるし、単純に流行病など有事の象徴とも取れる。どちらにせよ権力が常に優位で弾圧を加えて、下の者は下の者で資産を奪い合うという地獄絵図。
ゾンビがホームレスを取り込み、ホームレスが一般市民を取り込み、一般市民である主人公が金を奪う側の取立て屋をゾンビになって喰らうシーンは、一見悲劇だけど、見方によれば権力への反逆ってことですかね。

○bad
・ちょっと主人公が鈍臭いのがイライラした。ちょっとだけね。
目の前で彼氏が殺されかけてるのに『やめて!』って泣き叫ぶだけってのは…衰弱してたんでしょうが動け〜!って思った。
そんな所がちょいちょい
あってストレス溜まる。

ここまで絶望的なゾンビ映画も珍しいので面白かった。満足。一方で、上流階級の主人公が『新感染』してると思うと、より感慨深いです。
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