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ハート・オブ・ドッグ〜犬が教えてくれた人生の練習〜のTOTのレビュー・感想・評価

4.1
すべてのラブストーリーはゴーストストーリー。

ローリー・アンダーソンが語らずにまたは語りすぎて失われていたこと。
愛犬ロラベルや夫ルー・リード、友人ゴードン・マッタ・クラーク、そして母の喪失。
愛するものに先立たれて残されたものがなんとか生きていくための、なんとか息をするための映像と詩と音楽のコラージュ。

彼女の喪失をを私は体験することはできない、けれど劇中で彼女が「悲しみに染まるのではなく、悲しみに共感すること」と語るように共感することはできる。
9.11以降のアメリカ、3.11以降の日本、彼女の愛するものの死、私の隣の人が愛するものの死、その喪失の痛みに共感して生きていくことはできる。
誰しもが直面する喪失を自身の言葉で語る自由、その証明と美しさを知って、私が私の言葉で私の喪失を語ることだって可能だと気づく。
私もいつかマイラブストーリーを書きたいな…

という感じでかなり詩的で、軸となる物語展開や犬とのエピソード満載!って作品ではないです。
でも私はとても好き。
もう一回見たいな。
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