Masataka

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だのMasatakaのレビュー・感想・評価

4.2
昨今の日本のラブストーリー映画は少女漫画原作の、ある種の萌え的記号に満ちた商業映画が蔓延っていて、別にそれを見てもいないくせに無闇に否定するわけではないけれども、流石にやり過ぎではないかとうんざりする気持ちがあった。だからこのような青春恋愛映画を作ってくれて良かった。真っ直ぐに恋や愛を描いた映画だった。その真摯さは橋口監督の「恋人たち」にも似ている。
ただ、本作の方がずっと今の若者向けではある。詩集が原作ということで純文学的作風になるかと思いきや、意外にもポップ、所々ベタな展開もあった。最果タヒの詩のモノローグに沿って、孤独や死を意識させる話だが、無闇に暗くなりすぎないのが良い塩梅だった。ラストも良かった。

全然関係ないけど映画館に財布を忘れ、気づいて取りに戻った時には次の回が始まっていた。その回が終わるまでは探せないというので、無一文で新宿に放り出されてしまった。金が無いと都会では本当にすることがない。折悪くケータイの充電もない。僕は夜の新宿をフラつきながら2時間じっくりと都会に生きる己の孤独と向き合い、わりかし寂しい気持ちになった。風邪を引いた。
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