ゆず

君の名前で僕を呼んでのゆずのネタバレレビュー・内容・結末

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

同性愛に限らず、別れた相手であれ、共に過ごした良い記憶もきちんと大事に持っておける人間になりたいな。
別れは悲しいし切ないけど、前向きな別れというか……一昔前の同性愛題材の映画の悲壮感はほぼなくて、安心した。一緒にすごした時間を、大切な宝物として。お互い一生胸の奥に持ち続けていてほしい。
2018年現在でも、だいぶ環境と人に恵まれたお話ではあるのだろうけれど。
ご両親はもちろん、あの女の子とかさ……いいこすぎるよーーー私なら激怒しちゃう……。でも、長い付き合いの友達のようだったし、今まで築いてきた関係のおかげもあるのかもしれない。父親の言う通り、彼が善良であったからかも、と。
はあーーあ、最後の父親の言葉でべちょべちょに泣いてしまったな。


オリヴァー、ハッピーエンドにはならないだろうってのは、暗黙の了解ではあったのだろうけれど、最初から「付き合うことはできない」という点をはっきり伝えてあげてほしかった気はするけど(そういうこといってるシーン多分なかったようなきがする)。
ただ親は全く同性愛を受け入れないタイプのようだったし、もしかしたら一人息子や長男かもしれないし、と思うと結婚して子供を作ってってなるのはしょうがないというか……なんというか……。

私はー……目を覚ましたあとに、オリバーが、拒絶に備えてずっと不安の滲んだ眼差しを向けて、言葉でも行動でも確かめにくるところ、好きだったな。彼の今までの人生が滲んでいる気がして。最初の頃の大人の顔から、どんどん子どものような顔を見せ始めて。
別れの日の朝、寝顔を見つめる彼の悲しげな瞳と、ネガフィルムのような回想。「この夏で一生分、自分が求めていた幸せを過ごした」と心に焼き付けて、これ以上は望まない、望めない、とすっぱり関係を終わらせる……
ああー心を決めたんだ、最初から決めていたのかなあ。私にはできないなあ……。

名前を呼ばれる度に思い出される夏の記憶。呪いになりませんように。
ゆず

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