あきら

君の名前で僕を呼んでのあきらのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
5.0
いやもうすき!最高にすき!たぶん私の2018年ベストになると思う!まだわかんないけど!

いやもう美しいに尽きますね。
そりゃたしかに綺麗事なのかもしれない。豊かで美しい家族、美しい侵略者。これはギリシャ神話だと聞いて納得した。
よい音楽よいピアノ。
草の匂い、土の匂い、水の匂い、虫の声、鳥の声、風、光、そしてアプリコット。
キラキラして瑞々しくて、美し過ぎて胸が苦しくなるようなあの感じ。夏なんだよな……
抗いようもなく過ぎ去るものなのは、最初から確定済みなんですよ。たまゆらの時なの。

ぱんつとか果実とか生々しくはあるんだけど、それすら瑞々しくて、二人の浮かれた時間、熱、吐息、どれにも涙がこぼれた。
タイトルが意味するところを知った時の胸のギュッとくる感じ、あの電話での請うような自分の名前の形をした愛の叫び。暖炉の火の爆ぜる音。
過ぎ去ってもまだ消えたわけではない炎を持て余すエンドロール。

パパの言葉!あれ一言一句覚えたい。
何かを得て、喪失した経験のある誰の心にも刺さると思う。ご家庭に知性があるのっていいですね。羨ましい。
わたしも葬らずに生きられるでしょうかね。

萩尾望都作画のティモシー君のつたない激情に泣き、かさばるグッドルッキングガイアミハマが無自覚ひどい男に見えたのが一度目の鑑賞。
オリヴァーの目線や指先に滲む欲望と自制のバランスに気づいて切なさに震えたのは二度目の鑑賞。
すべてを見据えて、ただただ美しさに酔いしれいちばん咽び泣いたのが三度目の鑑賞。

二人とも影ができるくらいに睫毛長いし。ビジュアルバランスが最高。
アミハマの脚の美しさと膝下の長さにびっくりするし、彼でなければあの善良さは出せなかったでしょ。ダンスも含めて。
シャラメの拙さ、もどかしさ、性急さ、猛々しい爆発しそうな痛々しさ。表現の幅がすごいし、そしてさらにピアノ‼︎あれは一体なんなんだ‼︎すごい人が出て来たな‼︎
とにかく神がかったキャスティングだと思います。

あの作中ではシャラメの若い性を否定する人が誰もいないのよね。対してアミハマの背景にはやっぱり差別的なものがうかがえるわけで、アメリカと欧州の違いはくっきりあるのね。
だから、たしかにこの結末しかなかったとは思う。
からかってごまかしたりして、エリオの恋情をかわそうとしてかわしきれなかったオリヴァー、これから別の人と歩む人生を選んだ彼の方が、今後どうしようもなく囚われることになる気がするねぇ。
互いに自分の名前を聞くたびに自分のものにならなかった彼を思い出すわけで、とんでもないものを刻んでしまいましたよ二人ともが!

ガールフレンドちゃんがまたいい子でね、彼女の(一生)ズッ友宣言に実にグッときました。

あんなに美しいのにいやらしい。けど美しい。
知性と本能的欲情が違和感なく結びつくと、光の中でもこんなにも官能的になるのか。
神々のあそび、まさにそれ!!!


ひと夏の恋とかどうせ王道BLでしょ?とかどこかでタカをくくってたけど、ほんとすみませんでした。ただ「互いを見出した」それだけだ。
BLどうのとかは吹っ飛んだし、丁寧に作られた王道はやはりこんなにも美しいし、だからこそ王道なのだ。


サントラも原作も買ったしブルレイはよ!
あきら

あきら