Violet

君の名前で僕を呼んでのVioletのネタバレレビュー・内容・結末

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

Little Wonenでティモシー・シャラメの美しさに感銘を受け笑、彼の代表作と名高いと聞いて本作を鑑賞したけれど、前情報ゼロで見たので同性愛を描いたのもだと言うことは映画を見ている最中に知った(笑)

イタリアの避暑地・クレマでの一夏の美しい愛を描いた物語。美しい映画!と言われる理由がよくわかる、本当に美しい映画だった。
クレマの風景はどこを切り取っても絵画のような美しさで、かつティモシー・シャラメとアーミー・ハマーのなんと美しいこと。

劇中で英・伊・仏の3ヶ国語を流暢に使っていたティモシー・シャラメの秀才さにも驚き。

エリオがオリヴァーを見送った後に母親に電話をかけて迎えに来てもらうシーンからずっと涙が止まらなかった。
エリオのガールフレンド的な存在であったマルシアが「怒っていないよ。ずっと友達でいよう。」とエリオに手を差し伸べたシーンでもさらに号泣。エリオのことを心から愛していはずなのに、聖母マリアのような女の子だ本当に....

愛し合っていたはずなのに、アメリカに帰国してから半年ほどでオリヴァーは女性と婚約をしてしまった。その電話を受けた際にオリヴァーはエリオに「君は幸運だね。」と伝える。このセリフはエリオの両親とは対照的な、当時のアメリカでの同性愛を否定する風潮を如実に表していたと思う。
Oliver: He (Elio’s father) made me feel like a member of the family - almost like a son-in-law. You’re lucky. My father would have carted me off to a correctional facility.

本作の中で最も印象に残ったのは、ラストシーンでの父親の言葉。
「痛みや悲しみを無理やり忘れようとしてはいけない。それと一緒に感じた喜びも忘れてはいけない。何も感じないようにと自分の気持ちを無視することが何より惜しいんだよ。」
このシーンでは「エリオの父親も同性愛者であった」と読み取ることもできるけれど、原作者は映画の中でどう感じるかは勿論自由だけれど、原著ではそれを意図してはいないとコメントしているらしい。

続編の制作も決まっているみたいだから楽しみ。続編が出たら映画館で見たいな。

▼タイトルの意味
タイトルにもなっている「自分の名前で相手を呼ぶ」という二人だけのルール。お互いがお互いの半身であることを宣言するにも等しい、究極の一体感の表現。
この、二人が互いの半身だという発想は、古代ギリシャの哲学者・プラトンの「饗宴」に登場する「人間は本来手足が4本ずつある球体だったものが或る時2つに切り裂かれたもの。ゆえに常に片割れを探し求めている」という神話に基づいている。
参照: https://filmaga.filmarks.com/articles/2781/

『昔の世界は男と女ではなく、男男と男女と女女によって成立していた。つまり今の二人ぶんの素材でひとりの人間ができていたんだ。それでみんな満足して、こともなく暮らしていた。ところが神様が刃物を使って全員を半分に割ってしまった。きれいにまっぷたつに。その結果、世の中は男と女だけになり、人々はあるべき残りの半身をもとめて、右往左往しながら人生を送るようになった』海辺のカフカ上巻 村上春樹著
だいすきな作品。

▼Dad’s speech script
You’re too smart not to know how rare, how special, what you two had was.
Elio: Oliver was Oliver.
Because he was he, because I was I

When you least expect it, Nature has cunning ways of finding our weakest spot. Just remember: I am here. Right now you may not want to feel anything. Perhaps you never wished to feel anything. And perhaps it’s not to me that you’ll want to speak about these things. But feel something you obviously did.

You had a beautiful friendship. Maybe more than a friendship. And I envy you. In my place, most parents would hope the whole thing goes away, to pray that their sons land on their feet. But I am not such a parent. In your place, if there is pain, nurse it. And if there is a flame, don’t snuff it out. Don’t be brutal with it. We rip out so much of ourselves to be cured of things faster, that we go bankrupt by the age of thirty and have less to offer each time we start with someone new. But to make yourself feel nothing so as not to feel anything ― what a waste! 

It'll clear the air. I may have come close but I never had what you two have. Something always held me back, her stood in the way. How you live your life is your business, just remember, our hearts and our bodies are given to us only once. And before you know it, your heart is worn out, and, as for your body, there comes a point when no one looks at it, much less wants to come near it. Right now, there's sorrow, pain. Don't kill it and with it the joy you've felt.
Violet

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