Aya

A2 完全版のAyaのレビュー・感想・評価

A2 完全版(2015年製作の映画)
3.3
圧倒的に「A」の方が好きですね。
なぜならこちらは「A」氏があまり出てこないから。

事件から5年後の2000年を舞台に各地に散らばった出家信者とそれぞれの近隣住民との関係&カチ込んでくる右翼、麻原彰晃の3女、アーチャリーのお散歩&顔見知りの派出所に寄り道♪、釈放された上祐氏、そして松本サリン事件の被害者河野さんとの面談、と幅広く取材されててドラスティックなのは2です。

緊迫感や見応え、初めて知ることや未だ多くいるオウム信者、そして森達也監督自身の葛藤が登場するので、めっちゃ見応えあります。

特に上祐氏が登場した時はやっぱパンチあるよ!
A氏が霞む霞む。
マスコミ挨拶一つとっても格が違う。
この2人が後々仲違いすることを知って見ているから、余計感慨深い。

あとは自ら右翼右翼と連発する皆さんのやり方、ですよね。
なるほどああいう感じなのね!
あれだけ見ると警察が能無しに見えて・・・。

あのリーダーっぽい身なりを整えたおじさんいるじゃないですか?
あの人言ってること結構筋通ってるんですよ。
だからそれが受け入れられない意味がわからないから、声を荒げるのは当たり前やん、と普段知らない右翼を知れました。

宣伝に大きく出ていたのは近隣住民とのアレコレですよね。
情が移っちゃって、いつの間にか対策ボランティアは解散し、その撤去の手伝いを信者がしたり、お互いに名前で呼び合い笑い合い、一緒に写真まで撮る関係に。
いよいよ去る、となった時にもみんな集まってくれてはるし・・・なにこの感じ・・・。
5年経ったからでしょうね。

途中出てくる「親に保証人になってもらって物件を借りた」というエピソードは森監督の言う通り、「出家して家族と断絶したのにそれは教義に反するのではないか?」ってのもっともなんですよね。
「方便方便!」と返す信者に、はあ?なに言ってんのこいつら?感ビンビン。

最も「はあ?」がピークに達するのは松本サリン事件の被害者であり、事件で家族を亡くしたにも関わらず、犯人扱いされた河野さんの家に行った時の信者代表の対応ですよね。

なんで受ける河野さんから「これは謝罪なの?話し合いなの?」って聞かせるって!
それに答えられないのもあり得ないし、なんて対応するか相談する(河野さんのご好意)とか、マジお前らなにしに来てんねん感がすごいイラついた。
ほんまなにしに言ったのよ?!

河野さんは奥様を亡くされた上、半年くらい犯人!みたいな扱いを受けたてたんですよ?!
まず謝るのが当たり前やし、よく会ってくれたと感謝すべきやのに、それすら迂闊なことを口走らないように、と言う保身に走るのが所詮その程度のやつらなんや、と思われる所以なんですよ。

5年経ってもほぼ信者は悪いと思ってないし、他人事なのは全く変わってなかった。
なんやったらみんな明るくなって、宗教団体としてはゆるく、居心地が良さそうで危機感はほぼ無くなってましたよね・・・。

その姿を長年かけて追ってるからこそ、森監督はあんなに自問自答し、パーソナルな意見を直接相手に述べるまでになったのかな、と思いました。
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