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くるみ割り人形と秘密の王国のezuのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

時間がちょうど合ったので見ようか迷っていた時に原作のあらすじを読んで一体これをディズニーがどうアレンジするんだろうか!とワクワクしながら鑑賞してしまったのが良くなかった。
そもそもくるみ割り人形の実写化ではなかった。

母の形見への手がかりとなる鍵を追いかけて不思議な国へ迷い込む主人公クララ。唐突というか展開が雑な感はあるもののねずみを追いかけて走る少女というアリスっぽい感じにしたいのはまあわかる。
最初に出会うくるみ割り人形の兵士(キャプテン)との関係、まあもう少し掘り下げてほしかったけど少女マンガっぽくて良いかもしれない。
4つの国。他の2つは必要だったのか?というか母が何故か不思議の国で女王だったという夢であればなかなか痛々しい事実なんだけど、名前がマリー(原作では本来主人公の名前)だし何か深い理由があるはずと思いきや特になし。
マザージンジャーの国のピエロたちは造形に凝りすぎて思い入れが強いのか存在感がすごい。特にエンディング。全編この奇怪さをベースにコアな作品につくってしまえば良かったのではと思う。
そしておもちゃになってしまうビーム?あれはキャプテンがクララを庇って受けてしまいくるみ割り人形に戻る展開が是非とも必要だったと思うのですが。
そしてドロッセルマイヤーとキャプテンにあえて黒人をあてているのは原作の2人の関係性を踏まえてわかりやすく見せるためのものだと思ったのにどうしてそこを掘り下げなかったのか。
どうしてここまで美味しい題材を揃えておきながら、なぜ聞いたことがあるようなストーリーで安易に家族の物語に終結させてしまったのか。

舞台、バレエでは語られない原作の部分を織り交ぜてさらに国などの背景設定で世界観を広げた素敵なロシアンラブロマンス映画なのでは、なんて期待しすぎてしまったのは流石にハードルをあげすぎたと反省していますが……。
映像もバレエシーンもすごかったしクレムリン風のお城もキャラ造形も好みだったし、面白かったし楽しかっただけに本当にもったいないと思わずにはいられない映画でした。
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