暴行被害を受けた妹（青山美代子）を憐れむ混血児の青年（ジョージ・ハリソン）が、米軍基地で犯人のアメリカ兵を特定しようとする。在日米兵による性的暴行をテーマにしている、日活ロマンポルノ。主演のジョージ・ハリソンは沢田情児の変名。
米兵を相手に商売している権力者と、権力の傀儡にされている日陰者の、腹の探り合いが繰り広げられる。ベトナム戦争末期の世相が反映されており、「戦地へと赴き、死期を察することが、ひいては性の暴走を引き起こしてしまう」という負の連鎖を扱っている。
男優陣では、ドラッグ提供や売春婦斡旋を請け負っている闇社会の男（高橋明）が良い味を出している。女優陣では、主人公の妹と共に被害を受けて、白痴同然に陥った女性（伊佐山ひろ子）が、「誰とも目を合わさない芝居」を披露してくれる。
全体的に「その時代」の空気感を封じ込めてある、社会風刺ドラマという印象。レイプ事件を引き起こした米兵側をフォローしながら、主人公のやるせなさへと繋げていく語り口が絶妙。
