これは予想に反して楽しめた。素晴らしい作品。キャスティングの妙が冴えた。飯豊の上背と線の細さが、時にか弱く繊細に見え、ある時は病的にまた威圧感を持って展開に説得力が増し目が離せなかった。清水富美加も月の様な冷ややかさと後半以降はデコボコとした歪な精神性を表情ひとつで表現する巧者ぶりを魅せた。お嬢様校という一見華やかだが、内包する閉塞感と危うさ、優越と劣等、耽美と醜悪など決して長く無い上映時間の中で上手く表現した。羅生門のような前半部のミスリードも結果的に丁寧で良かった。題材は極めて日本的だが、レザボアドックスを観た時のようなクールさを感じる秀作だった。
