ゴマシオ

オアシス:スーパーソニックのゴマシオのレビュー・感想・評価

5.0
《Maybe you're the same as me, we see things they'll never see
You and I are gonna live forever
We're gonna live forever》

と歌い、
瞬く間にスターダムを駆け上がったバンド小僧達が、

たった2年後、ネブワーズで

《Cos people believe that they’re
Gonna get away for the summer
But you and I, we live and die
The world’s still spinning round
We don’t know why
Why, why, why, why》

と、25万人と一緒に歌う…

もしこの映画がフィクションなら、
何という、これ以上ない程の黄昏時だろうか…

Blurの「New World Towers 」が、友情を再構築していく過程を描いた感動的なドキュメンタリーであるのに対して、
OASISは、バンドの全てが最初に訪れた限界迄突っ切った時間を題材にした。

深くは言及しませんが、イチ音楽好きにとっては94年は哀しい年でした…
そこへ力強いメッセージを送り込んだ彼等に、飛び付き縋ったものでした。
そして目眩くロックンロールサーカスを必死に追いかけて、追いかけて…

そんな彼等のドキュメンタリーは、
見終わった時に、
多少ビターな感傷を残してくれますが、

それと同時に
《Hey hey, my my
Rock and roll can never die
There’s more to the picture Than meets the eye
Hey hey, my my.》
(Neil Young , Hey Hey My My から引用)
を感じさせる、この老境差し迫る1人の音楽好きの背中を「バーン!!」と叩かれた様な力強いメッセージも又、残してくれました。

まるで兄弟が述懐しながらコメントを述べている導入に、思わず心踊る!

それと同時に、兄弟が本当に大事にしている事が心から伝わるお母様のコメントが効いている…
兄弟がお母様を間に罵り合いながらも「良いから、あの時の話しをね!」っと催促されて思わず色々な話しが飛び出す収録になった様。(実際は厳重に個別に収録。)
更にはバンドメンバーの赤裸々なコメント迄!
(ボーンヘッドの漢気に感動…😭)

音楽や雑誌の情報では中々見えてこない(それが普通の事だけど)彼等OASISの立ち位置が鮮明になっていく。

(いきなり音楽好きになって、あのヴォーカルかよ…!)
(そうそう、初めてバンドで音合せする時って、とてもナイーブになるけど、滅茶苦茶興奮するよね!!…ましてや自分のオリジナル曲を合わせた時なんて…!!!)
と、とっても楽しそうにバンド活動に邁進する様子に、ちょっとバンド活動していた人なら凄い共感出来る述懐が続き、のっけから感情移入が止まらないw
(それにしても、時期は違うのだろうが良くこんな映像残ってたなぁ…)

普通は、その後のサーキット巡りに疲れ果ててそのまま終わってしまう所ですが、彼等は違った。

素晴らしい曲があり、最高のヴォーカルが居て、たった一度のチャンスを捥ぎ取る運を逃さなかった。

当時を思い返すと、
やはり「クリエイション」&「アラン・マッギー(どうか何時迄も健康で…)」の仕掛けは素晴らしかった。
日本の音楽媒体は勿論、自分も完全に乗っかっていた。

ただそれでもthe Smiths & La's より大きな成功を掴むとは思わなかった…

映画を観て思うのは、
決定的に違うのは、彼等OASISは本当にバンド小僧だったんだなぁ…という想い。
徐々に信頼できるツアークルーに恵まれて(特に納得出来る音を作るPAマンを仲間にした事は大きい。La'sは最後までライブでの音像に苦心していた。)、
ゴタゴタしようが構わず突進して行く結束の強さが、急激な成功を掴んだ理由の一つ。

そして無防備なまま、ロックンロールビジネスの奔流に身を任す…
それがOASIS!と言えば、その通りなのだけど、観ていて背筋が凍る程、危険なサーカス…
また彼等の周りには、冷静沈着なビジネスマンであるミック・ジャガーや、どんな状況でも絶対バンドを諦めないジョー・ストラマーが居なかった。

実際には、まだまだ成功途上にあった彼等だけど、
転げ落ちる時ほど、時間は早く流れて行く様に感じるのは、自分だけだろうか?

またその時分に出された音楽媒体で見かける彼等のコメントを、余りにも自分は鵜呑みにしていた…

(バンド小僧の葛藤だよなぁ…🤔強がりもするよね。)なんて当時は全く思えない程、ショックを受けていた。

映画を観た今なら、当時の自分をシバきたい思いで一杯💦。
只、彼等の音楽を信じていれば良かったのに。

結構ボカして記述してきましたが、色々と自分の目で確かめる価値がある映画です!!

貴方がUKロック大好きで、

今でも時折
「OASIS?まぁ前は好きだったよ(苦笑)。」という感想を述べる事があるならば!!!

そして
この映画のプロデューサーであるノエルに是非、

「この映画を体験したら、20年後でも

『ロックンロールは死にやしない
目に見えているものだけが、全てではない』
自分は、その光景を眺める事が出来ないかも知れないけれど、それは絶対だよ!
観終えた観客全員の感想だと思うよ!」

と、伝えたい。

「頂点を突き詰めたからといって、やめる必要は全く無い。」

きっとこれからも人生がひっくり返る程のイノベーションが起こると信じて…。


PS.
この映画に大なり小なり資料提供された
全世界中のファッキンOASISファンの皆様…。

貴方達の資料提供が無ければ、此処までの説得力を持った場面構成にはならなかった筈です。
有難う御座いました!!!

是非、「アレ俺の映像〜へへッ」って大いに自慢して下さい!!!
ゴマシオ

ゴマシオ