爆裂BOX

ハングリー・アタックの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ハングリー・アタック(2016年製作の映画)
3.3
小学生のティムはクラスメートと共に深夜の動物園へ侵入する。しかし、突如警報が鳴り響き、逃げ遅れたニックがワニに嚙み殺される。15年後、故郷を離れていたニックは父の死をきっかけに事業承継を決意し、再び町に戻ってきたが…というストーリー。
「プライミーバル」等に出演しているアンドリュー・リー・ボッツ主演のアニパニ風味のサスペンスホラーです。
妻ルーシーと共に故郷へ帰って来たティムだったが、それと合わせるように町の住人が沼地で行方不明になったり、ワニに襲われて命を落とす事件が発生。ティムはかつて自分が盗んできたワニの卵を叔父のスタンが育てて沼地に逃がしてしまったのではないかと疑いを抱き、責任を感じて自分の手で退治しようとするが、という内容です。
このタイトルとジャケットからワニが田舎町で暴れるパニック映画かと思うのですが…冒頭で小学生時代のティムが友人と深夜の動物園にワニの卵を盗みに侵入し、そのうちの一人が頭からワニに齧り付かれるシーンで幕開けしますが、ワニの出番は多くないです。
全体的に説明不足に感じるシーンや展開が多いんですよね。主人公が故郷に再び帰ってきた理由とか、登場人物の人間関係もろくに説明されずに進むので、登場人物の台詞や描写からこっちが察してあげないとすぐには分からないんですよね。古株の従業員のスタンが主人公の叔父とか最初全然わからなかった。
故郷に戻って来た主人公に村の住民や会社の従業員が妙に冷たいのも、過去の事件のせいかと思ったら、同じく関係してる親友のパギは普通に暮らしてるから単にいきなり戻ってきて会社継ぐのが気に入らないだけなのか。そもそも過去の件が村でどういう扱いなのかもわかりませんし。
前半は説明不足のドラマが淡々と進んでいき、沼地にワニがいるという描写はちょこちょこ挟まれるんですが、中々人を襲いません。襲われるかな、と思わせるシーン来ても、その登場人物がどっかに行ったりしてスカされるのが続きます。沼地で飲んでいちゃついてた女子社員ブリトニーが何かに襲われて行方不明になったり、犬の散歩中の老婦人が襲われるシーンくらいですね。ワニは模型使ってますが、結構精巧な作り。
騒動に責任を感じたティムがパギやルーシーを連れてワニ退治に乗り出すも、端に引っ掛かってボートから離れてジタバタしたり、従業員のバカコンビがドタバタ劇しながらワニ倒しちゃったりするシーンは妙にコミカルな演出されてます。基本淡々として主人公とパギが子供達のワニの劇見て過去を思い出すシーンとかシリアスなので妙にチグハグした感じ受けました。
従業員のおバカコンビやその妹のブリジットなど、登場人物は多めだけど、それなりにキャラ立ってて印象に残る人はいたかな。
ワニ倒されてももう一匹いるんだろと思いましたが(実際いますが)後半から突然猟奇殺人鬼物へとシフトチェンジするのは驚きました。このジャケからこの展開は予想できないでしょう。直接的なゴア描写はないけど、解体された人体は割とグロいですし、挽肉使ってミートパイ作る時に挽肉の中にタン混ぜたりする気持ち悪いシーン出てきます。バカコンビが犯人突き止めて乗りこんだら腕を挽肉にしてる最中で呆然とする所はコントみたいな感じで、ワニそっちのけでホラーコメディとかしていきます。
クライマックスは妻を攫われて救出に来た主人公とサイコ殺人鬼の戦いになりますが、一人の殺人鬼の足刺した後、拘束されてる妻残してもう一人の殺人鬼追い掛けるという謎ムーブかます主人公は本当に意味わからんかった。偶々あの殺人鬼妻襲うより逃げるほう選んだから助かったけど。
犯人知らされた住民達が「ぶっ殺せ!」とばかりに手に手に武器もって向かうけど、最後にワニに食われる犯人見てドン引きする所はちょっと笑った(笑)最後のもう一波乱での、「何なの!?」と言いながら躊躇なく殺人鬼の頭にアイロンぶちこむおばさんにも笑った(笑)
エンドロールでの登場人物の後日譚もどうでもいい情報ばかりで面白かったですね。最後の最後に絶対死んだと思ってた奴が逃げて不穏な感じで終わったけど、続編狙ってるのか?
このジャケットとタイトルからワニが暴れるパニック期待するとがっかりすること請負ですが、サイコ殺人鬼が出るうらっくなサスペンスホラーコメディとしてはそこそこ楽しめました。