ヨツ

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版のヨツのレビュー・感想・評価

4.2
ありがとうデジタルリマスター。ありがとうソフト化。ありがとうレンタル。
劇場で観なかった自分ほんとにバカだけど、自宅のちゃちな環境であっても、やっぱり観れてよかった。
心に肌があるとしたら、鑑賞後のいまはいょうど肌が引き攣れてる感じがする。4時間近い作品のなかでわたしの心の肌は思いがけず抉られて、時間が経つに連れて肌は修復し、映画はわたしの中で咀嚼されていく、そんな感じ。

なんかもう何を語っても薄っぺらい感じがするしもう一回観てから感想書きたいけど、正直4時間はそんなにホイホイ観ることのできる長さじゃない。
不安定な少年少女とノスタルジックな台北の風景がとても美しい。台湾とか香港とかって土地そのものが刹那性を持ってる気がして、台湾や香港を舞台にした作品は青春や刹那性といった要素とよく合うなって個人的には思います。
だんだん変化していく主人公の、暴力性と傷ついた心の描き方が本当に綺麗で、他の作品でも似たような心の軌跡を描く主人公っていると思うけど、なんだかこの作品は特別だなって感じがした。ラストの方の小四と小明のシーンでの小四の台詞とか鳥肌が立つ。そして呆然とする(であろう)観客を包み込むラストシーンの余韻。
前に遡れば、もちろん懐中電灯のシーンは印象的だけど、個人的に忘れられないのは小四が戦争と平和を読んだ?という台詞(細部曖昧)を口にするシーン。実際の登場時間の短さからは考えられない存在感を放つハニーが戦争と平和について話すあのシーンがとても好きだったので、小四の台詞にもハッとさせられた。
序盤の小四と小明が2人で学校を抜け出すシーンとか、全部観終えたいまもう一回みたら心が締め付けられそう。いつか絶対また観よう。
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