男はくらいよ監督さそり

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版の男はくらいよ監督さそりのレビュー・感想・評価

4.4
1960年代に実際にあった未成年の殺人事件を描いた映画だが、日本でもその後未成年凶悪殺人事件が続発した事を予見していたかのようだ。
長い!ひたすら長い。だが、この映画の凄いのは、一つの小さな町の狭い人間関係のみで描き切ってる事だ。不良少年グループや登場人物が多くて、名前も読みにくいのと似てるのがいて混乱するが台湾の話だから仕方ない。
音楽背景の告白シーンは『生きる』、雨の中の斬り合いは『七人の侍』と黒澤明監督の影響が見られる。
あと『仁義なき戦い』。
かと思うとプレスリーやアメリカンな演奏シーンはアメリカ映画のようだ。エドワードヤン監督の全ての思いが詰まってる感じ。
日常が淡々と描かれつつも唐突な暴力が始まるのが怖い。
ヒロインのリサヤンが凛とした顔で凛々しい。
その清潔感とか美人過ぎないところがアイドル的。それ故に男子が狂う。
たまに激しい表情や切ない表情をするし、素晴らしい女優だ。
そして引きの画が美しい撮影が見事だ!歌のうまいチビの同級生が凄く良い。この子だけ感情移入出来る。テープは残念だけど。
若い男女が古本屋街を歩くシーンは『夜は短し歩けよ乙女』に影響与えたのかな?