このレビューはネタバレを含みます
アニメシリーズのダイジェスト+スピンオフ
<本編>
高校2年の始業式の日、高宮菜穂は10年後の未来の自分から、転校生の翔にまつわる悲劇的な未来の出来事への後悔の念とその回避のためにすべきことが綴られた手紙を受け取り、仲間の須和、貴子、あずさ、萩田の仲間とともに最悪の出来事を阻止に向けて行動する、というSF青春ラブロマンス。
本編を見ていた時、菜穂は恋愛感情も入り混じっていたこともあり、関係性が不十分なうちに翔の闇の深淵に踏み込もうとしたり、翔から無理にポジティブな言葉を引き出そうとして安心しようとしている菜穂を見て、苛立った人もいるだろう。須和がMVPになるのは必然のこと。
本作のテーマと恋愛はやっぱり相性が悪く、むしろ須和視点の方での友情ベースの話の方が響くところが多いのだが、最初から丁寧に最後まで須和視点のストーリーで見たいところだったが、賞味30分で残念。
翔死亡の世界線では菜穂と結婚するものの、翔の死が夫婦関係に影を落とし、須和は夏目漱石の『こころ』の先生のポジションに追いやられて罪悪感に苛まれ、こんなことなら菜穂と結ばれなくてもいいから翔に生きて欲しかったと思ってしまうのもよく分かる。翔生存の世界線では翔と菜穂は結ばれたが、そこは菜穂が菜穂だけでなく翔も包み込んだ須和の大きな愛に気づいて最終的には須和を選んで欲しいところだ。一方で、須和は未来の自分からの手紙で菜穂への気持ちが冷めてしまったというのも分からなくもなかったので妙に納得してしまった。この感覚は女性には分かりにくいかもしれない。