『 LA LA LAND』と競い、アカデミー作品賞を獲った本作。
本当に、超傑作『 LA LA LAND』よりも優れているのかな?と、かなり疑い目線で観賞。
結果、ジャンルが違い過ぎて比べることなど出来ない映画でした。一括りに映画とは言え、全く違うところに響く感じです。
ただ、やっぱり日本で生まれ育っている自分では、本国と感じる度合いに差はあるんだろうな、とも思いました。
内容としては、主人公・シャロンが少年から大人になるまでを描いており、一見、差別やいじめ、ドラッグ・同性愛等々のタブーを、どれだけ詰め込めるか大会!の様な映画にも見えます。
そのチャレンジ精神を主に評価された、とも思われそうですが、それだけではなかったです。
登場人物に、誰1人として普通の人がおらず、1番まともな人でさえ、麻薬の売人という始末…。当然、誰にも感情移入など出来やしない。
だけど、そのまともではない人たちに、それぞれほんの少しだけ、共感できる一面があるんです。その多面性のある表現が、人間的で実にリアル。
タブーをこれだけ詰め込んでいるにも関わらず、抑えた演出が効いていて、とても現実的に思えました。
冒頭に『これは本当にあった物語』とか表示されていたら、そのまま信じてしまいそうです。
観終わって、ストレートな感動や分かりやすいメッセージが伝わる映画ではありませんが、いつまでも残るような、複雑な気持ちになる作品でした。