リリー

ムーンライトのリリーのレビュー・感想・評価

ムーンライト(2016年製作の映画)
4.5
上映が終了する前にやっと観ることが出来た。これは映画館で観ることをお勧めします。
何と言っても映像の美しさである。アカデミー賞作品賞受賞作でありながら、良い意味での地味さでララランドとは対照的と言える。
映像の美しさとは、アフリカ系の人々の肌を実に綺麗に撮っていることである。特に海で、シャロンにとって父のような存在の麻薬ディーラーのファンが、幼い主人公のシャロンに泳ぎを教えているシーンでは、2人の肌の輝きがまぶしいほどだった。そのファンが言っていたが、子どもの頃、月明かりの下で走り回っていたら、見ていた人に、あなたの肌が青く見えると言われたとのこと。本当に青く光るようだ。アフリカ系の人々は、自分たちの肌の色を常に意識して生きていかなくてはならないのだろう。シャロンの口数の少なさが映像を際立たせている。
良い意味での地味さというのは、性的マイノリティであるために迫害されたり、麻薬中毒の母親がいる恵まれない家庭環境で育ったりという境遇から人は簡単に抜け出せないことがわかってしまうこと。
しかしそれでも、絶望だけで映画は終わらない。自分を理解してくれる人が一人でもいれば、明るい希望が見えることも教えてくれる。
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