Kana

女神の見えざる手のKanaのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.0
目的のためには手段を選ばない冷徹な女性が、たった1人で政界の闇に挑む話。
数年前にアメリカ政界のフィクサーを描いたスキャンダルというドラマが流行していましたが、「ロビイスト」という存在は初めて知りました。
私的な政治活動団体、日本ではあまり見かけないけれどアメリカでは19世紀から水面下でかなりの影響力を発揮しているそうです。
久しぶりに実写以外で心を打たれました。
主人公から発せられるエネルギーと迫力が凄まじい。
あの鋭い眼光を向けられると、心に疚しさのある人間は思わず目を背けたくなりそう。
一瞬足りとも心の内を見せず邁進し続ける彼女の生い立ちが気になるところですが、敢えてそれを語らず、結末も全ては見せないところがこの映画の良いところでもあります。
所詮人は他人の見たいところを見ているだけなのだから、何が真実かはわからないままでも構わない…という媚びない姿勢は、全ての登場人物に当てはまるのかもしれません。
主人公はもちろん、信頼する部下も、心配する上司も、嘘をついた男性も、誰も心情を語らないので、結局のところ何を考えているのかわからない。
ただ大切なのは結果と、それを受け止める覚悟だということ。
道徳的には許されない非情な選択をする彼女ですが、共感を求めず、弱音を口にすることもなく、全てを受け入れる覚悟があるからこそ、誰にも彼女を批判する権利はないのかなと。
匿名で他人を批判したり、笑顔で知人のマウント取るような姑息な人には見習って欲しいです。
それでも彼女の本当の目的がなんだったのかは気になるところ。
自分を犠牲にしてでも叶えたいこととはなんなのか。
夢か野望か、名誉か、自己顕示欲か。
それを得た先に何があるのか。
Kana

Kana