MasaichiYaguchi

サクラダリセット 後篇のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

サクラダリセット 後篇(2017年製作の映画)
3.3
河野裕さんの青春ミステリーライトノベルを野村周平さん主演で、深川栄洋監督が2部作で映画化した後篇は、前作で蘇った相麻薫がキーパーソンとなって、咲良田の能力者たちを管理している公的機関・管理局と浅井ケイたちの対立が鮮明になっていく。
この対立の根っこにあるのは、能力者たちが発動させる“有り得べからざる事態”に対する考え方。
この“有り得べからざる事態”を生み出す能力を排除して、普通の日常を取り戻したいと考える人と、能力者たちの力を上手くコントロールして、今まで通り普通の人々との共存を図ろうとする人との対立が火花散る頭脳戦で繰り広げられていく。
この対立の引き金になったのは、咲良田の管理システムとして機能していた魔女の死期が迫り、彼女の最後の願いにケイたちが手を貸したこと。
ケイが手を貸した魔女もそうだが、本作には咲良田を守る為に身を挺している人々が登場する。
主人公のケイも両親等を捨ててこの街に留まり、悲しい思いをしている人々を春埼美空と共に救う活動をしている。
後篇でケイたちと対立する人物は、掛け替えのない身近な存在が咲良田を守る為、自らを捧げているのを何とかしたいと思っている。
様々な思いや願いが錯綜する中、ケイたちは誰かが犠牲にならなければならない難しい問題をどう解決しようとするのか?
原作を含め本作は恋愛要素のある青春物であり、同時にタイムリープを中心としたSF作品でもある。
この作品で繰り広げられるタイムリープはタイムパラドックスを孕んでいて、“禁じ手”の要素が感じられるが、前後篇を通して「過去をやり直して、未来に希望を繋ぐ」というテーマに則したものなのだと思う。
果たしてケイたちは咲良田に、皆夫々の願いや思いの花を咲かせることが出来るのか?
エンディングで流れるflumpoolの主題歌がラストシーンでの“ラストコール”と響き合います。