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ジェーン・ドウの解剖のHYTRのネタバレレビュー・内容・結末

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

一家惨殺の家の地下にあった、ひとつだけ外傷のないとても綺麗な状態の遺体。
身元すらわからない『彼女』を解剖し、事件との関連を調べる事に…。
と、C.S.Iやクリミナル・マインドなど見ているとこういう流れは当たり前なのだが、案の定ホラーな方向に。

主人公達というか、ホラーな現象の被害者予定の人達というか、火葬場と死体安置所を営む検死医親子なんですが、職業柄人間を解体する事に慣れていて躊躇がない。
それこそ、前述のドラマの検死医達もそうなんだけれど、好んでやっているわけではないにしろ、普通の人間にある何かを失っているのが改めて感じられる。
そんな彼らだからこそ『彼女』の正体に近づけたのかも知れないが、普通だったら外傷のないあんな綺麗な遺体を切り刻む事に躊躇してしまいそう。

縛られたような手足の骨折、切られた舌、トドメに焼けた肺ってところで魔女裁判が頭に浮かぶが、M.I.Bみたいに人間の皮を被った未知の生き物の可能性もなくもないかと思ったけど、儀式の痕跡が出てきてやっぱそっちでしたね。
最後まで『彼女』の正体は本物の魔女なのか、父親が言ったように無実の人間が激しい憎しみによって魔物となったのか解らないまま、次の犠牲者の元に回されていく。
怪現象の原因を辿り、『彼女』に同情し、赦しを乞うが、結局呪いは止まずに殺される結末はリングと似ている。

そもそも、彼女のような特殊な例でなくても死後とはいえ身体を好き勝手に解体されるのは不愉快だからと、解剖中に怪現象が起きても不思議ではないのかも。
ましてや、興味本位で遺体を見たがる息子の彼女など、殺されてもあぁやっぱり死んだかぐらいにしか感慨がわかない。
そんな風に考え出したら、死者への冒涜でバチが当たったようにしか見えずに、全く怖く感じない後半でした。
改めて現代の当たり前の法医学と死者への礼節を考えさせられので、3.5。
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