こたつむり

アンダー・ザ・シルバーレイクのこたつむりのレビュー・感想・評価

2.4
♪ 考え方しだいで 世界は丸かったり
  考え方しだいで コンペイトウに見えたり
  僕の住む世界は ゆがんでいるらしい

漫画や小説と映画の大きな違い。
それは関わる人の数じゃないでしょうか。
小説は執筆者一人で作り上げるのが前提ですし、漫画も同様(場合によっては原作と画+原案や編集者などが加わって四五名…アシスタントは含まず)。

しかし、映画の場合。
脚本、音楽、美術、製作、出資者、そして俳優さん…様々な人の想いが積み重なった表現物。それだけに現実に近しくなり、解釈も多様となると思うのです。

だからこそ、最も大切なのは監督さんの意思。
人によっては“自分以外は全て道具”と扱うかもしれませんし、スタッフに丸投げする場合もあるでしょう。どちらにしろ、責任の所在は監督さん。作品をどのような形で統括するのか…それが映画の妙だと思うのです。

そして、本作の場合。
監督さんの想いが見えない作品でした。

いや、表層は分かりますよ。
例えば『ゼルダの伝説』が劇中の重要なポイントで用いられるため、彼がファミコンを愛していることは十分に伝わってくるのです…が、そこから先が無いのです。「面白いよね」「好きだよね」の共感だけで終わっているのです。

個人的な好みで言えば、悪夢を描くにしても、既存の作品に頼るのではなくオリジナリティで攻めてもらいたいところ。というか、それが一番おいしい部分じゃないですかね。チェリーパイの無い『ツインピークス』なんて“甘くない麩菓子”と同じですよね。

まあ、そんなわけで。
「隠された暗号に翻弄される物語」と耳にして鑑賞しましたが…「中身がない」ゆえに噛み応えを感じない物語でした。確かに監督さんの前作『イット・フォローズ』も微妙だったので…相性が徹底的に悪いのでしょう。カジュアルな感覚で楽しめば良いのかもしれませんが…うーん。
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