Angeprunelle

おとなの事情のAngeprunelleのネタバレレビュー・内容・結末

おとなの事情(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

性悪女のクレイジーな提案から始まる悪趣味ホラー✧

罪をおかしているかとか
隠し事をしているかとかは正直どうでもいい。
あまり褒められることではないけれど
大なり小なり知られたくないことは誰もが持っていて
それが個人であるという確かな証拠だし
ある意味正常なことにも思う。

「自分の本心」と「社会の正常」との狭間で
悩み葛藤しながら
多くの人が漠然とした「社会の正常」という輪の中から
無駄にはみ出ないように
奇異な目で見られないように頑張ってる。
自分の感情を全力で押し殺してる人もいれば
それが出来なかったゆえに
全力で罪を隠し通そうとしてる人もきっといる。

私達は普段洋服を着ていてカーテンもするんだから
それを強引に引っ剥がそうだなんて暴力でしかない。

けど今の世の中は強引だ。
結局のところ善人か罪人かは関係なく
陰湿で悪質な悪知恵はたらく人間が
常に世の中やそのグループを牛耳っていて
それなりに思いやり持って生きている人や
悩みながらも間違いを犯しながらも
一生懸命善人であろうと生きてる人間が
むやみに傷付けられたりバカを見る。

そういうこと・・・
そういうことなんだと思う。

善人であること
誠実であること
社会での評価
友人の数
こういうものは人生の幸福感と
≒にもならないし∝もしない。

隠すことに特化したアプリがあれば
暴くことに特化したアプリまである。
それを作ったのは人間で
それをほしがったのもまた人間。
そして利用しているのもまた人間。

なんにでもロックなんにでもパスワード。
それなのに一人一つのカメラ、街中の防犯カメラ。

個人情報だのプライベートだのうるさい中で
これだけのレンズが一人一人を見張ってる。
誰がどういう風に利用し保管しているかも
明らかにされない。
プライベートなんてあったもんじゃない。

悪意ある人間に利用されたら終わり。

自分を
守りたいのか
隠したいのか

他人を
暴きたいのか
壊したいのか

全部を求めるなんてあまりにも卑怯だし図々しい。

でもそれを求めたのもまた人間。
それに反抗する術を知らず力も無く
嫌々容認してるのは私自身。
世の中のシステムが暴力的に思える。
というより現代技術を善意で利用している人より  
悪意を持って利用している人が
やけに目に見えることが不愉快で苦痛だ。

どの世の中にも時代に合う人合わない人がいる。
私は極めて後者に近い。
上手く生きることがとにかく難しい。

距離感って大切。
見過ごす優しさってのも出来るだけ持っていたい。

急激に変化する世の中
技術や機能と共に、いやそれより前に
人間性やあらゆる規則を
アップデートする必要があるのではないか。
それを怠ったまま新たなテクノロジーを
世に出し続けているから
こんな悪質な嫌がらせや
つまらない悲しみが生まれるんではないか。

こんな世の中なんだからいっその事
あらゆる事を免許制にしたらどうなのかとすら
思う。

そのくらい無責任で陰気な大人であふれてる。
そのくらい本来必要のない
くだらない怒りや哀しみが多過ぎる。

本作は「If」の話で終わったけどIfで終わらないこともある。

真実を知って新たな人生を行くか
何も知らないまま気付かないまま
なんとなく虚しくてなんとなく穏やかな今を続けるか
どちらがHappyかは人それぞれだけど
少なくとも善人ぶって人をもて遊んだり
嘲笑うような人間にはなりたくない。

人の手は温かくて柔らかくて心を穏やかにする
とても美しい体の一部なのに
現代人の手はまるで鋭い刃で出来てるみたい。
ひんやり冷たくて慎重に扱わないと刺されちゃう。

優しい手でいたい。
ちゃんと手当ての出来る手でありたい。

そして立派な人間になりたい。
社会に評価されるとかそういうんじゃなく
目立たなくても大したこと出来なくても
ちゃんと傷付いたり悲しんだり出来るような
非を認め謝れたり誰かの過ちを赦せるような
そして人の痛みに寄り添えるような
自分を誇れるような人間になりたい。
Angeprunelle

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