ぷーや

人生フルーツのぷーやのレビュー・感想・評価

人生フルーツ(2016年製作の映画)
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津端さんは巨大団地の設計とか著作を出しての海外でのサイン会とかとかをやってきたような人で、当然誰にでも真似できるようなものではない。でも、そういった分かりやすい"大きな"フルーツだけでなく、パンに焼印を押す、ベーコンを燻す、障子を張り替えるとかそういった日々に付随するちいさな一つ一つも丁寧に映し出されている。それらの所作に乱れや戸惑いはなく、長年の経験に裏打ちされた礼式を伴っており、だからこそ生活を撮ってるだけで絵になるわけ。
別にスローなライフがベリーベストって言われてる訳ではなく、それはあくまで彼らの生き方であり、この映画から浮かび上がるのは(その人なりの)善さを日々積み上げた先にある美しさだろう。
そういった意味で「人生フルーツ」という作品も、まさに彼らの人生という土壌に実ったフルーツと言えると思います。


でもやっぱり、最後に精神病棟の話があったからこそ収まりが良くなったというのはあるよね。平均的会社員が彼らのような生活をしても映画にはならないし、と考えるのは小市民的すぎか。
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