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闇の子供たちのdameyajiのレビュー・感想・評価

闇の子供たち(2008年製作の映画)
4.0
タイを舞台とした幼児売買・幼児売春、臓器移植を目的とした生きた幼児の人身売買といったとても重いテーマの作品。

あらかじめだいたいの内容は事前情報的な感じで聞いてはいたものの、実際に観てみたら予想以上に目を背けたくなるような描写が多くて正直かなりキツかった。

売春宿に売り飛ばされたまだ幼い子供を相手に人間のクズみたいな大人の客達が無理やり性行為に及ぶシーン。

その子供たちが病気になって使い物にならなくなると黒いゴミ袋に入れられ捨てられてしまうシーン。

捨てられたゴミ袋の中から逃げ出し、ボロボロの体で地面を這いながら必死に父母が住んでいる家に帰ってくるシーン。(更にその後の酷い仕打ちも…)

そして、更にショッキングだったのが子供の事をクレジットカードで買うシーン。

こういったショッキングな場面の数々にもう何度観るのを止めようかと思ったくらいでした。

幼児売買や幼児売春。
今まで耳にする事はあってもそれをフィクション映画だとはいえ実際に映像で目にすると、そのあまりにも悲惨な光景にとても胸が苦しくなった。

子供たちには何の罪はないのに。

そして、

『子供たちは決して売り物ではないのだから…』


繰り返し何度も観ようと思うような作品ではないけれど、けど不思議と、

「観なきゃよかった」

という後悔の気持ちは全くない。
逆に観て良かったと思う。

この作品を観ると毎日見慣れているはずの身近な光景がとても美しく感じてしまう。
そして、子供たちが笑って過ごすごく当たり前の

平凡な普通の毎日

がこんなにも幸せな事だと改めて感じてしまった。(頭の悪い私にはこの程度の感想しか書けませんが…)


ちなみに主な登場人物は、

臓器移植を目的とした人身売買の真実を追う新聞記者役の江口洋介



幼児売春から子供たちを守ろうとする社会福祉センターでボランティアとして働く宮崎あおい

の二人。

パッケージ写真に一緒に写っている妻夫木聡と佐藤浩市はチョイ役って感じです。


それにしても、まさかまさかのラストの意外な展開には正直驚きましたが、たぶん

「そういう事」

なんですよね。


桑田佳祐のエンディング曲がバックで流れる中、二人の子供が水を掛け合いながら遊ぶ光景を見て最後少しだけホッとした気持ちになれた。

『地図でたった20㎝しか離れていない場所』

で実際に起こっているかもしれない悲しい現実。是非一人でも多くの方に観てもらいたいと思います。
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