Omizu

ジョルスン物語のOmizuのレビュー・感想・評価

ジョルスン物語(1946年製作の映画)
3.0
【第19回アカデミー賞 作曲賞、録音賞受賞】
『シエラ』アルフレッド・E・グリーン監督作品。カンヌ映画祭コンペに出品され、アカデミー賞では主演男優賞(ラリー・パークス)など6部門にノミネート、作曲賞と録音賞を受賞した。

初のトーキー映画として知られる『ジャズ・シンガー』で主演をつとめた実在のエンターテイナー、アル・ジョルスンの半生を描いた伝記映画。

なるほどこれは今の時代には合わない作品だ。なにせミンストレル・ショーのスターの話。黒塗りで黒人役を貫きスターの座を駆け上ったアルの生涯というだけで今の時代では絶対につくられないタイプの作品だろう。

ミュージカルではないのだが、ジョルスンの歌う歌が随所に散りばめられた作品。広義の音楽映画と言える。

鮮やかなカラー撮影を含め端正な映画ではあるし、妻ジュリーとのロマンスも見応えあり。人種問題を除けば非常によく出来た作品ではある。

しかしやはりジョルスンを肯定的に、楽天的に描くのは今の基準から言うと顔をしかめざるを得ない。ジョルスン自身黒人音楽であるジャズをリスペクトしているという描写がある。しかしやはりミンストレル・ショーという演目自体が持つ人種差別を考えるとそれだけで評価を覆すのは無理がある。

映画としては非常によく出来ているだけに難しい。期待していたより面白いし、ジョルスンを演じたラリー・パークスも魅力的。ただやはり現在この映画を評価することはできない。続編もあるようだが進んでみようとは思えない。
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