むさじー

君が描く光/ケチュンばあちゃんのむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

<祖母と孫に訪れる人生の“光と影”>

海女のケチュンばあちゃんと暮らしていた孫のヘジが行方不明になり、12年ぶりに再会した時には不良少女になっていて、何か秘密を抱えているようだった。
だが、祖母は変わらぬ愛情を注ぎ、二人の穏やかな日々が続くかと思われたが、過去を引きずる彼女のしがらみから別れを余儀なくされ、次に会った時には隠されていた秘密が明かされる……。
祖母と孫の心の交流を描くヒューマンドラマの展開と、謎解きサスペンスの融合の仕方が絶妙で、ハラハラしながら涙を誘われてしまう。
近くに住む朴訥な甥夫婦も村人もみな優しく、ユーモア漂うホノボノとした暮らしなのだが、ただそれだけで展開はせず、忍び寄る悪のしがらみが穏やかな日々に影を落として、人生の“光と影”が描かれる。
また“光と影”は、美術の恩師から「影より光を見ろ」と言われながら、「私は光になじめない」と屈折した青春を歩まざるを得なかったヘジの切なさであり、光に向かって泳ぐ祖母の姿を描いて『告白』と題したヘジの真の心根でもある。
祖母を演じるユン・ヨジョンの、裏に感づきながらも信じたい微妙な表情に心動かされ、善と悪の狭間で思い悩み危うい綱渡りをするヘジ役キム・ゴウンに感情移入して、思わず涙腺が緩む。
済州島の風景も、描かれた絵も美しい。
むさじー

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