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タリーと私の秘密の時間のロクのレビュー・感想・評価

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)
3.9
何もかも自分でやらないと気が済まない完璧主義な主婦マーロ。2人の子供を育て優しいが少し子供っぽい夫とともに暮らしていたが40代に突入して予期せぬ妊娠が発覚!無事に女児を出産したものの発達障害を抱えた長男と思春期を迎えつつある長女の世話をしながらの育児は想像以上に大変で夜泣きする赤ん坊への搾乳やおしめの取替えなど仕事に追われ出張続きの夫も手伝ってはくれるが寝る暇も無い日々の暮らしの中で遂にマーロの心は折れてしまう。そんな彼女の姿を見かねた彼女の兄からナイトシッターを雇ってみてはどうかと勧められ渋々雇うことにするが、やって来たのは自分とは一回り以上違うタリーという名の若い女性でビックリ!タメ口言葉で喋るイマドキ女子な彼女に最初は不安を隠し切れなかったマーロだが赤ん坊の面倒は良く見てくれるし散らかし放題だった部屋まで掃除して帰ってくれる完璧な仕事ぶりのおかげで睡眠は十分取れるし温かい食事を家族に提供出来るしダイエットや化粧にも十分時間がかけられマーロはみるみると明るく美しくなっていく。そんな自由奔放なタリーとの心地良い時間にマーロは不思議な絆のようなものを感じ自然と自身が抱えている悩みまで相談するようになっていたのだが明け方になると帰って行くタリーが自分自身のことを語りたがらないことが不思議でならなかった...ジェイソン・ライトマン監督×ディアブロ・コディ脚本×シャーリーズ・セロン主演という「ヤング≒アダルト」のメンバーが再集結した本作は脚本を担当したディアブロ・コディが第3子出産後に産後鬱状態になりナイトシッターを雇ったという実体験を元に書かれたということもあって子育ての大変さや産後鬱の苦しさの描き方はリアルで特に授乳→おしめの取替→子供の送り迎え→食事の支度の無限ループに発達障害の長男が突然喚き散らして暴れ出すというコンボ技で疲れ果てて能面のような顔で搾乳機を両胸に付けて虚椅子にもたれ掛かっている心の折れたマーロさんの描写は衝撃的で声を失いますが、要所要所で笑える部分もあり決して暗いだけの作品ではなかったのが良かったです。美貌と抜群のスタイルをかなぐり捨て18キロも体重を増加させて子育てに孤軍奮闘する主婦マーロを演じたシャーリーズ・セロンの女優魂にはアッパレと言うしかないですし、タリーを演じたマッケンジー・デイヴィスもブレード・ランナー2046のデリヘル嬢役とは違った等身大の女子を伸び伸びと演じていて可愛らしかったです。女性が抱える悩みや孤独に寄り添うように温かく描くことに定評のあるジェイソン・ライトマン監督らしい子育て真っ最中のママさんは勿論子育てを経験したママさんやにもオススメの一作です!!
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