めるる

サーミの血のめるるのレビュー・感想・評価

サーミの血(2016年製作の映画)
4.5
2021年鑑賞106作目
正直サーミの人々の存在をこの映画を知るまで知らなかったけど、今思うとアナ雪2のノーサンドラの人々はサーミ人がモデルなんじゃないのかと思った。

この映画を見て、スウェーデンでも差別が横行してることが見てとれた。寄宿学校での頭や顎の形を測る身体検査がナチスで行われてた優生学政策と同じで明らかにサーミの人々を下等扱いしていることが分かる。また、サーミ人にサーミ語を禁止してスウェーデン語を学ばせ同化させようとしてるのにいざスウェーデン人らしいことをしようとすると拒否される。同化政策の矛盾も見られた。
サーミというだけで差別を受けて見世物にさせられることに嫌気が刺してサーミを捨てることになるけど、文化の違うところで自分のルーツを隠して一人で生きていくためには恥を捨ててまで生き抜くしかなかった。
ニクラスの家に泊めてもらうのだって、お金を貸してって言うのだってすごく恥ずかしいはずだし、本当にメンタル強くないとできないことだと思うけど自分のルーツを捨ててスウェーデン人として生きていくと決めた以上やるしかなかったんだなあ。
でもそこからおばあさんになるまでスウェーデン人として生きてきてるので、相当な苦労はあっただろうけど、生きててくれて良かったと思った。
そして最後に自分のルーツであるラップランドに戻って自分が捨てた家族、文化、故郷と向き合う姿はとても感慨深いシーンだった。
故郷を捨てても絶対にどこかでまた故郷に戻る時が来るって言葉はどこかで聞いたことがあるけどまさにその通りだと思った。やっぱりどんなに隠したって生まれ育った故郷は心の奥底に残っていて自分のルーツを捨て切ることなんて人間できないんだと思う。
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