タイトルとジャケットの女の子の強い眼差しが印象的でずっと気になっていたけど、影響されやすい私はあらすじを読んで気持ちが重たくなりそうだな…と思い、避けてしまっていた作品。思っていた通り心に何かがずんとのしかかる感じがして、何も知らないのに知っているかのように苦しくなった。だけど、観て良かったと思える作品でした。
性別や人種、セクシュアリティに関する差別をテーマにした作品はいくつも観てきましたが、民族への差別がテーマの作品を観たのは今作が初めて。知るべきことを知り、色んなことに気づきました。もちろん今作を観ただけで全てを知った気になった訳ではありません。
日本にもアイヌ民族などの少数民族が存在するのは知っていたのに、民族を意識したことはこれまでなかった。そんな自分の無関心に気づくことができて、良かったです。
少数民族だからと言って人権を無視され、民族が絶滅してはいけないからと街にさえ出してもらえず、同じ民族の相手との間に子を産み、伝統を守っていくことを強いられる。彼らの意思とは関係なしに。どれほど辛いかなんて私には分からないからこそ、想像して、考えることが大切なんじゃないかと思いました。
家族か自分か、まるでそう聞かれているように見えた。違う道を歩むことを決めたエレもそんな彼女を切り離した母も、それを黙って見つめていた妹も、皆んな怒りと悲しみと愛を抱えていた。