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サーミの血のDZ015のレビュー・感想・評価

サーミの血(2016年製作の映画)
4.1
1930年代スウェーデン北部。山間部に暮らす中学生エレ・マリャは少数民族のサーミ人であることから受ける差別と偏見に晒される日々から抜け出そうとある行動に出る。

強烈に突き付けられ問いかけられる作品。年老いたエレ・マリャの回想という形で物語は進むが、まずは老婆と少女の表情がまったく一緒である事に驚かされる。実際にサーミ人だというエレ・マリャ演ずる少女の力強い存在感に終始圧倒される。偽名を使い強引なまでに、時には法を犯してまで自分の人生を勝ち取っていくエレ・マリャ。対照的にサーミ人の伝統の中で静かに生きる妹。家族や自身のアイデンティティーを捨ててまで手に入れたかったものは。一気に引き込まれるオープニングから途轍もない余韻を残すエンディングまで、初長編作とは思えない完成度。今後が楽しみな若き女性監督。
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