トランスマスター

サーミの血のトランスマスターのレビュー・感想・評価

サーミの血(2016年製作の映画)
4.0
♯13 1人で静かに見る映画

北欧のラップランドという土地に住むサーミ人の姉妹の生き様の群像劇。
トナカイの放牧を営む原住民の姉妹が、寄宿舎学校での生活から、地元のスウェーデン人との接触や、制限のある境遇に対し自らの意思で道を切り開いていくお話です。

◆良い点/注目ポイント
・トナカイの生々しいマーキングシーンや、上品な教師による体罰など北欧のイメージ(家具とヴァイキングと神話くらいしか知りませんが)にしては少し意外な場面があります。
・祭りで知り合ったスウェーデン人との接触で、地元に根差したローカル型の生活からグローバル型の自分の特性に覚醒して運命を知り開いた行動力は尊敬すべき。

◆改善点
・主人公の老後の体格が細過ぎる所が残念。もっとガッシリして欲しい。

◆総括
・放牧民の先天的な脳の構造だけでなく、どんなに努力してもで高等教育への道が閉ざされている社会システム。貧困の連鎖を断ち切れない仕組みは、日本以外の国でもまだあるはず。その世界から脱出するための姉の大いなる決断は、間違って無かったと思いました。
当たり前のように進学している先進国がある一方これほど大事なものを手放さないと進学できない地域がある事を考えながら、今の時代の日本に生まれた事を感謝しながら日々を送ります。

-2020年 13本目-