ペイン

ディザスター・アーティストのペインのレビュー・感想・評価

4.5
“ヒッチコックはウケたか?”

「カメラを止めるな!」を凌駕する勢いの傑作だと私は思いましたよ。映画製作を舞台にした作品として観て。

これが日本未公開って何かの冗談だろ?と言いたい。

一体、何を持って成功した映画というのか、立派な映画というのかを改めて考えさせられる1作。

ジェームズ・フランコ演じる主人公トミーは本当にたちが悪く、周りを困惑させてばかりで、才能があるとも決して言いがたい。ただその圧倒的な“映画作りへの情熱”とカリスマ性みたいなものだけはある。

映画製作シーンもあまりに情熱的で圧倒的で、そこには“理屈”など介在する余地はない。このシーンが観れただけでも私は大満足である。

ジェームズ・フランコの演技もオスカーを獲ってもおかしくないほど完璧な演技で、監督としてもこれほどの才能があったことに驚かされた。エンドロールで元の映画「The Room」と本作の比較映像が流れるが、どのシーン、どのショットもそっくりすぎてぶったまげる。

そして私が一番グッときたのは終盤、
自作の映画を観た観客の予想外の反応に落ち込むジェームズ・フランコ演じるトミーに対して、仲間のグレッグが“ヒッチコックはウケたか?”と励ますシーン。

そう、ヒッチコックやキューブリックのような先人たちと同じような受け入れられ方、立派な称賛のされ方をしなくとも、トミーの作った映画は確実に観客を大いに笑わせ、ウケさせたのだ。

ここで私は涙腺決壊でした。

映画を愛する全ての人に観てほしいです。カメオ出演も超豪華です。
ペイン

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