“ヒッチコックはウケたか?”
「カメラを止めるな!」を凌駕する勢いの傑作だと私は思いましたよ。映画製作を舞台にした作品として観て。
これが日本未公開って何かの冗談だろ?と言いたい。
一体、何を持って成功した映画というのか、立派な映画というのかを改めて考えさせられる1作。
ジェームズ・フランコ演じる主人公トミーは本当にたちが悪く、周りを困惑させてばかりで、才能があるとも決して言いがたい。ただその圧倒的な“映画作りへの情熱”とカリスマ性みたいなものだけはある。
映画製作シーンもあまりに情熱的で圧倒的で、そこには“理屈”など介在する余地はない。このシーンが観れただけでも私は大満足である。
ジェームズ・フランコの演技もオスカーを獲ってもおかしくないほど完璧な演技で、監督としてもこれほどの才能があったことに驚かされた。エンドロールで元の映画「The Room」と本作の比較映像が流れるが、どのシーン、どのショットもそっくりすぎてぶったまげる。
そして私が一番グッときたのは終盤、
自作の映画を観た観客の予想外の反応に落ち込むジェームズ・フランコ演じるトミーに対して、仲間のグレッグが“ヒッチコックはウケたか?”と励ますシーン。
そう、ヒッチコックやキューブリックのような先人たちと同じような受け入れられ方、立派な称賛のされ方をしなくとも、トミーの作った映画は確実に観客を大いに笑わせ、ウケさせたのだ。
ここで私は涙腺決壊でした。
映画を愛する全ての人に観てほしいです。カメオ出演も超豪華です。