わっしょい

ライフのわっしょいのレビュー・感想・評価

ライフ(2017年製作の映画)
3.6
宇宙という神秘が持つ、魅力と脅威。

火星で発見された生命体「カルビン」と、6人の宇宙飛行士の生存をかけた物語。

カルビンが宇宙飛行士たちに牙を剥いてからが物語の本番だけれど、個人的にはそれまでの最初の15分くらいが好きだった。

導入として宇宙飛行士たちの日常が描かれる中で、彼らが宇宙にどれだけ魅せられているかが、ひしひしと伝わってくる。
地球外生命体の発見や宇宙空間そのもの等に、心踊らされる彼らの姿が愛おしい。

また、システムやプロトコル、専門分野の知識が全て頭に入っているような描かれ方から、宇宙飛行士になる為に勉強に当てた時間の膨大さを感じさせられる。

そんな彼らが宇宙や未知の生物に純粋に心躍らせれている描写から、感情と理性の共存という人間性の極地のようなものを感じた。
宇宙飛行士は色々な意味で雲の上の人だけれど、その根底には宇宙が好きという純粋で人間らしい感情があり、それ故に膨大な勉強に取り組んで宇宙飛行士になっているというのが素敵だなと思った。

カルビンに襲われてからも、感情と理性のバランスを保ちつつも、感情寄りに行動するキャラクター達が魅力的だった。
極めて優秀であっても感情に引っ張られて上手くいかなくなってしまう人間。
感情や理性の狭間で揺れるまでもなく、本能に基づいて行動するカルビン。
そんなカルビンにほとんど何も出来ずに蹂躙されていく展開から、人間の儚さが感じられた。

宇宙という未知のものに魅せられ、地球外生命体という未知の脅威に捻り潰される。
人間の弱さというよりは、人間の限界みたいなものが感じられる映画だった。
そういった意味で、あの終わり方はこの映画に相応しいものだったと思う。
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