このレビューはネタバレを含みます
できる限り前情報入れたくない派の人なので、スコアもネタバレの恐れがあるかなと思いまして、伏せております。
劇場公開終了をめどに、いつものように戻す予定です。
☆4.0
《闇を暴くのは、それより深く暗い闇》
最初の予告を見て、重たくて暗いバットマンが観れる!とずっと楽しみにしていた作品です。
もうね、主題歌Nirvanaってことで、マッチしすぎでしょ!劇場で聴けるの最高でしょ!と興奮しており、期待値もそれなりに高まっていました。
見終わった感想、一言。「良い!」
DCヒーローはこうでなくっちゃ!ウォッチメンみたいな雰囲気で、バットマンはまるでロールシャッハのよう。ディテクティブしてました!
リドラーの仕掛ける謎々ゲーム。クリーンであるはずの人物が次々と手に掛けられていく。ゲームの駒のように扱われたその死体から、リドラーの狂気と復讐心が窺える。犯行現場に残されたバットマン宛の手紙によって、強制的にゲームの登場人物に仕立て上げられる。
さらに血文字で『No more lies』というメッセージ。
カオスを極めたこのゴッサムに隠された嘘とは何なのか?
劇場に響くのは肉弾の重低音。ウェインの正義は時に揺らぐ。自分が信じたものは偽りだったのか。闘いの中で葛藤し、もがくヒーローの姿はとても美しい。本当の黒が他の色を受け付けないように、彼の信念は染まらない。
だが、リベンジャーとして歩んできた彼は、復讐が何にもならないことを悟る。慈愛に溢れた彼の最後のシーンはとても印象的だ。
そして、リドラーも好きなキャラクターだ。言っていることはサイコパスで、悪として括られることかもしれないが、真実を世に明かすことが正義と考えている点は、ロールシャッハと同じである。
「何を見出すか、何を裁くのか」
ねじ曲がっていたとしても、リドラーの正義も理解できる。本当の悪は、上手くうわべを取り繕っているだけなのだから、目を向けるべきは汚職にまみれた公職員達。
ゴッサムの闇は深い。
その闇よりさらに深淵から、影は見張っている。
p.s.ペンギンが縛られて放置されるシーン。ペンギン歩きの彼がちょっと可愛かったです🐧