キャッチ30

THE BATMAN-ザ・バットマンーのキャッチ30のレビュー・感想・評価

4.0
 クリストファー・ノーランの『ダークナイト 』トリロジーを除くと、アメコミ映画に対する私の点は辛い。『アベンジャーズ 』もあまり乗れなかった。
 だが、今回の『THE BATMAN-ザ・バットマン- 』に関しては少し期待していた。何故なら、バットマンことブルース・ウェインにロバート・パティンソンが起用されたからだ。

 パティンソンは『ライトハウス』で怪演を見せてくれた。当然、期待値は高い。この選択は正解だった。彼の造形するバットマンは復讐心に取り憑かれている。バットマンとしてはまだ2年目で、精神的に未熟で両親の敵討ちを追い求めている。心は満たされず、虚無感が強い。表の顔のブルースの肖像も大富豪という社交性とは程遠く、笑顔を見せず、目も虚ろだ。

 バットマンはゴードン警部補と共に権力者を狙った連続殺人事件に挑む。犯人はリドラーという知能犯で、犯行の際に必ずなぞなぞを残し、バットマンに挑戦する。リドラーを追ううちにバットマンはゴッサムシティの腐敗と父親の罪を知ることになる。

 リドラーとバットマンはコインの表と裏の関係だ。彼らが面会室で対峙する場面は黒澤明の『天国と地獄』を彷彿とさせる。
 
 監督のマット・リーヴスはサイコ・スリラー調のバットマンを創り上げる。バットマンとキャットウーマンの関係性や雨に覆われたゴッサムシティもフィルム・ノワール色が強い。パティンソンの他にもポール・ダノは流石だと思ったし、ジョン・タトゥーロも良い。