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マンダレーへの道のandorinhaのレビュー・感想・評価

マンダレーへの道(2016年製作の映画)
4.5
日本は島国だ。だからこそ他国から侵略されることなく、ほぼ単一民族として長くその国を保ってきた。
しかし、世界に目を向ければそのほとんどの国は他国と国境を接している。人はより多くのお金を手にするため、家族を養うため、よりよい生活をするため、その可能性のあるところに流れていく。まるで高いところから低いところに流れる川のように。それがたとえ違法な手段であったとしても。

同じくミャンマーからタイへと流れてきた主人公の男と女。ただこの二人は目標に開きがあった。そして目標を達成するための覚悟にはもっと大きな開きがあった。
女は、幾度も足を引っ張られながらも、泥沼の中を必死で前へと進む。男は、女に追いつけない、振り返ってもらえない焦りからラストシーンの行動に移ってしまったのだろうか。

ミャンマーからタイに着いた女がカバンから出してきたものは、瓶に入った漬物や味噌、乾物といった故郷の味。でも普段は具のないほぼ麺だけのインスタントラーメンや焼きそばで日々を過ごす。
私はふと考えた。「私が着ている服や旅行先での食事は、彼らのそういった慎ましやかな日常の上に成り立っているのかもしれない」と。
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