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荒野の用心棒のmarohideのレビュー・感想・評価

荒野の用心棒(1964年製作の映画)
4.0
 西部劇が観たくなった時に観たいものが全て入っている映画だった。ギラつく太陽とくっきりとした影のコントラスト、土埃、そこに男たちの焼けた肌。
 後年様々な作品にオマージュされているからか、どこかで見たことがあるようなシーンも多いが、それが一切気にならないほど本物としての見応えがあった。とにかく一つ一つの画面の構図が美しい。オープニングムービーはシンプルかつスタイリッシュ。音楽も完璧。
 悪党も下卑ていて良かった。悪党とはこうでなければ。これを観るために西部劇を観ているようなものだ。あの粗野な喋り方や表情、真似したくなる。

 勧善懲悪ものなのかと思い込んでいたが、想像以上に主人公がダーティーだった。二つの組織を争わせ、残ったほうを皆殺しにする。作中で人が死ぬのは大体主人公のせいである。でもまぁ、いいのかな。悪党だし。巻き込まれたバーのマスターだけやや不憫だった。善悪の曖昧さが良い雰囲気を醸し出している。

 それにしても、クリント・イーストウッドってどうしてこんなに美しいんだろう。この世で最も美しい男性なんじゃなかろうか。
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