イチロヲ

荒野の用心棒のイチロヲのレビュー・感想・評価

荒野の用心棒(1964年製作の映画)
4.0
メキシコ国境の小さな町を訪れた流れ者が、保安官と密売組織の抗争を利用しながら、北軍から強奪した金貨を手中に収めようと目論む。マカロニ・ウエスタン(イタリア産西部劇)の口火を切っている、記念碑的作品。

黒澤明監督「用心棒」(1961年度)を西部劇に置き換えていることで有名な作品。公開当初は、引用元が未クレジットであり、スタッフ陣はアメリカ人のような偽名を使用していた(現在は黒澤側がクレジットされている)。

画面構成まで「用心棒」と同じなのは唖然とさせられるが、そもそもセルジオ・レオーネが黒澤フォロワーのため、悪意のあるパクリとは異なる。「侍映画を取り入れながら、イタリア製西部劇を作ってやる!」という野心が伝わってくるところも清々しい。

本作のクリント・イーストウッドは、頭脳明晰、冷静沈着なガンマン。エンニオ・モリコーネの音楽が問答無用でカッコよく、銃撃を受けた側の主観視点も冴え渡っている。黒澤映画の緩急には及ばないが、フォロワー作品としては上々の出来栄え。
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