PAO

blank13のPAOのレビュー・感想・評価

blank13(2017年製作の映画)
3.9
監督が根っからの映画ヲタクなんでね。
従って、映画ヲタクの心を掴む憎い演出というのを熟知してらっしゃる。
行間というか間合いというか余白というか。そういう一拍置く演出が目立ちます。
メロウなテンポの悪さが逆に今後の展開への興味をそそる。
そして画の作りには、いちいちメッセージ臭を感じる巧みさ。
光の使い方がキャラクターの感情を表してたり、アップや引の画の使い方もまた、心の距離感なんかを含ましてそうだなぁとかね。
そして斎藤監督の本業である俳優というアドバンテージも充分に活かしていて良かったのがカメラワークかなって。
葬式のシーンなんかでは、カメラを固定して撮影してたけどその場合、なんか映画というよりコント的な画だなって感じたんだけど、カメラワークに頼らず、俳優のポテンシャルを信じて俳優達にお任せしますみたいな潔さは自らも俳優だからこそって感じなんだろな。
そういうコントっぽい演出や、間の悪いセリフなんかは斎藤工の「お笑い好き」も活きてる。(斎藤工さんのマスクメンっていうピン芸人もやってたぐらいだからね…)
という感じで斎藤工さんの『映画ヲタク×お笑い好き×俳優』
という魅力が詰まった創作料理のような映画。
そして長編といえど70分の尺にこの世界観を集約した凄さ。
映像も音楽の使い方も、グロスで捉えてもものすごくセンス良い!
PAO

PAO