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星の子のPAOのレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
3.7
本作の一番の見どころであるラストシーンはどう解釈すればいいだろう。
私はハッピーエンドであると「信じたい」。
聖書に「信じるものは救われる」という一節がある。
信じる事=自分のメンタルを守る行為。
例えば予言者が「◯月◯日、天災が襲い世界は滅びるだろう」と言い、仮にそれが外れても、信じる者達は「我々が信仰する力が天災を回避した!」と思うのだ。
私なんかは「なんだよインチキ預言者!」と思うだろうが笑
信仰が天災を回避したのだと思う心と、インチキ預言者!と思う心と、どちらが澄んでいるかといえば前者かもしれない。
また前者の場合、自分の心は豊かになる一方で、後者は「だから人は信じられない」と、より疑念の心を増幅させる。
よって、信じる心は自己保身になるのだ。
でも、自分のお金や時間を湯水のごとく注いでもなお他者を信じられるようなお人好しには「搾取しよう」「利用しよう」とする人が寄生するリスクも高い。
この性質が宗教と均等を保つ事が難しい要因。
最近は特に宗教についてのニュースが絶えないが、全ての宗教が悪とは思わない。
信仰により命を救われる人も沢山いるのが事実で、そういう人から宗教をとれば自殺率や犯罪は間違いなく増えるだろう。
しかし一部の宗教では、本作にあったように「金星の水」の中身を水道水に入れ替えるみたいな詐欺行為や、安い品を高額で売りつける霊感商法は確実に存在するわけで、人の日常を狂わす悪質な宗教は撲滅させなくていけないと強く思う。
ちゃんとした宗教もあるものの、はなから搾取を目的とする宗教も沢山あるから難しい。一筋縄ではいかない根深い闇に切り込んだ考えさせられる作品でした。
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