せびたん

ミュージアム 序章のせびたんのレビュー・感想・評価

ミュージアム 序章(2016年製作の映画)
3.2
途中までおもしろかった。
日常に暴力が介入してきた時のエグさに心をエグられた。いい意味で不愉快極まりなく、エグエグだった。ヤバいなこれって思った。
クライマックスあたりで残念なことになった。

キャラを深掘りしないことで生じる臨場感や不思議な味わい?乾いたいい感じ?が途中までとてもよかった。とある登場人物が投入されたことで崩れちゃったような。あえて崩したかったのかもしれないけど。音楽でいう変調みたいな効果を狙ったんだろうか。でも効果的ではなかったような。知らんけど。

同監督の他作品、『カルト』や『貞子VS伽倻子』では、不意の新キャラ投入がうまくいってただけに、どういう狙いで崩しにいったのか知りたくなった。

また、前作を見る限り、カエル男は犯罪を芸術だと考えてる自己主張の強いタイプだったはずなので、本作には「親子愛の刑」の意図や、その刑の芸術ポイントについて得意げに語るシーンがあって、そこの気持ち悪さと主人公の反応が見せ場なのかなと勝手に思っていた。違った。

考えてみると、そもそもこのシリーズは、カエル男の異常性を主題にして掘り下げたものではないようだった。カエル男は「異常な犯罪者」という記号にすぎず、実体はなかったのだと思う。その実体のなさが作品の膨らみに制限をかけてくるゆえの全キャラ深掘り禁止だったんだろうか。もしくは時間の制限があったからか。なんてことを考えた。

本編よりもこちらのほうが私の好みだったので、本編(132分)もこちら(55分)も90分ずつにしてくれればよかったのになぁ。て思った。
せびたん

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