もなみ

スモーク・アンド・ミラーズ 1000の顔を持つスパイのもなみのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

パコ、依頼人ルイス、大臣、パイロットことヘスス、各自の虚々実々の駆け引きがヘススの目を通して描かれる。

一度政府に裏をかかれたパコが、再度の裏切りを予測して打っておいた手立てにあっと驚くが、でも考えてみればラオス政府になんのコネもないパコが、公金横領で自首したスペイン人の引き渡しを仕切っていたのは、そういえばおかしいと後から気付いた。
ラオスの警官が足を引きずっていたのも、なんとなく引っ掛かっていたが、スペイン映画だから、アジアの役者さんの配役がいい加減なのかしらと思っていたら、そういうことだったのかと、後から納得した。そんな仕掛けがいくつもあり、二転三転する展開には目が離せない。

迷うルイスを自首に持ち込むために、パコが心理戦を仕掛けるあたりは特に緊迫感があった。そのためには味方をも欺く手際が鮮やか。獄中まで手を回せるとはすごい。

しかし、ルイスの奥さんは身重なのによく刑務所に入る覚悟があったなぁ。夫よりよっぽど肝が座っていたなぁ。まぁ本人は証拠がないから大丈夫とは言っていたけど、やっぱり最初から夫の身代わりのつもりだったのだと思う。
それに比べて卑小な夫だったよなぁ。自分だけ逃げようとしかけたんだもんなぁ。

パコとその妻の関係も、奥さんは、ようやく夫との関係を修復したと思ったら、夫は黙って消えてしまって、切ないなと思った。
私物のトランクと絵が良いスパイスになっていて、絵の処遇が夫婦関係を表していたけど、本物だったのだろうか。

パコは時効が成立してから姿を現したけど、その後どうしたんだろう。
ルイスの暴露手記はどうなったのだろうか。
もなみ

もなみ