さすらいの用心棒

氷菓のさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

氷菓(2017年製作の映画)
1.7
何事にも積極性がもてない男子高生(山崎賢人)が、古典部に入部した日から好奇心旺盛な女子高生(広瀬アリス)に振り回されながら謎解きをする、大人気推理小説の映画化。

原作も読み、アニメも全話拝見したくらいだから、たぶん好きなんだろうけど、映画も含めて『氷菓』という作品はやはりミステリとしては致命的に弱いと思う。「日常の謎」に分類されるミステリの宿命として謎解きが尻すぼみになるのは仕方ないけど、それを回避するべく他の推理作家が凝らしている工夫について、本作はちょっと不足しているような気がする。デビュー作だから仕方ないんだろうが、それにしたって解明した瞬間の脱力感は何とかならんものか。
それでも『氷菓』がずっと人気を博しているのは、連作短編でありながらひとつ長編が姿を現すという構成が面白いからで、アニメが成功した要因のひとつもそこにあると思うのだけど、映画ではすべてのエピソードを連続で見せているせいで構成が喪失し、原作のいちばん面白い部分が消えてしまっている。だからこんな面白くないんだろう。
監督が長年、ホラー映画を製作してきたためか、光線の少ない画面がずっと世界観と齟齬をきたしているなかでヘンにアニメを意識したのもよくないし、俳優陣のアニメに寄せた演技が、正直しんどい。広瀬アリス自身は嫌いじゃないけど千反田える役にはやっぱり適していないし、かと言って広瀬すずも違うし、橋本環奈も違うし、主役二人以外の配役についてはもはや論外だし、やはり実写化するべきではなかった。