デニロ

新仁義なき戦い 組長の首のデニロのレビュー・感想・評価

新仁義なき戦い 組長の首(1975年製作の映画)
3.0
前作の続きかと思っていたら全然別物だった。1976年に『鉄砲玉の美学』と一緒に観た記録がある。今回は、VODで。94分は楽です。

ひし美ゆり子が豊満な肉体を晒して熱演するのだが、むしろ男に取り入っていく様を徐々に描いているあたり田中陽三、佐治乾の作劇だろうか。とりわけラストで何気なく織本順吉の額に滲む冷や汗を拭う場面はゾクッとした。「ウルトラセブン」の影響か、時折ブームになる女優さんだがわたしの興味の範疇外だった。「ウルトラセブン」って、小学生のわたしにはとてつもなく難しかったし。

やくざ社会の下克上のような話を面白く描いている。別にやくざ社会でなくてもそれは面白いんだけれど。流れ者菅原文太は今回も組織のために対立相手の組長を殺し獄入り。7年後仮釈放。刑務所から恩を返してもらおうと組に向かうが、頼りにしていた山崎努はヒロポン中毒で組織から見放され役に立たず、加えて組織はたいした扱いをしてくれない。そんなこんなで菅原文太は自分の生きる道を探っていく、というパターン。智謀の末、復権するという前作のストーリーを踏襲する。ラストのスチール写真でまんまと新しい権力者の傍に席を占める文太の眼がキラリと光る。

それにしても山崎努の幽鬼溢れる役作りは黒澤映画の影響だろうか。彼の妻という梶芽衣子の役の書き込みがひし美ゆり子の描き方に比べ地味で、まるで咬ませ犬。ラストのカーチェイスが邪魔くさい。

1975年製作公開。脚本佐治乾 、田中陽造、高田宏治。監督深作欣二。
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