浅野公喜

劇場版 あしたのジョー2の浅野公喜のレビュー・感想・評価

劇場版 あしたのジョー2(1981年製作の映画)
3.8
テレビ版「あしたのジョー2」と並行して作られ、テレビ版と同じく力石徹の死からスタートする劇場版2作目。

全編に貫かれるのは陳腐な表現ながら青春をボクシングに捧げた孤独な男の美学。孤独といってもネガティブなニュアンスではなく、孤高とも形容出来そうなその生き様に胸を打たれます。

テレビ版では47話あるものを約2時間で描くわけで、盟友カーロス・リベラ、最大の敵ホセ・メンドーサに大きく時間を割く一方で金竜飛やハリマオ、ウルフ金串更にゴロマキ権藤辺りは存在感が希薄に。テレビ版同様出崎統3の手腕が「光る」演出は流石といった所で、作画のクオリティの高さは古さをあまり感じさせません。挿入歌の二曲(Byジョー山中)やBGMも相俟って叙情的なテレビ版より乾いた雰囲気が浮かび上がる印象も。個人的には前作の劇場版で使われた「美しき狼たち」(Byおぼたけし)をエンディングで流してくれたらより〇でした。

前作劇場版に引き続き起用された声優陣は白木葉子のフミ・ダン、力石徹のトシユキ・ホソカワ、マンモス西のシロー・キシベで、今作からはカーロス・リベラにジョー・ヤマナカ、ホセ・メンドーサにマスミ・オカダが起用と声優仕事がメインではない俳優・タレント達が目立ちます。それ故にアニメというより実写映画に近い、やや抑揚のない会話も有りますがキャラ達が実在の人物のようにも感じます。

余裕が有る方はテレビ版「あしたのジョー2」も是非。宣伝で申し訳ないのですが池尻大橋でホセ・メンドーサ似(大袈裟)の従兄が落ち着いた雰囲気の成味屋という居酒屋を営んでいるので興味有る方は寄ってみてください。
浅野公喜

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